読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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パキスタンやアフガニスタンの上空には,米軍の無人飛行機,ドローンが絶えず飛び交っている。これを操縦しているのは何千マイルも離れたアメリカにいる,たいていは比較的若い男たちだ。2011年までの七年間で,米軍のドローンに殺された人は,パキスタンだけで2680人にのぼると見られる。
ドローンは未来の戦闘の象徴だ。現在,偵察に使われているドローンがある一方で,人間や建物を標的にしているドローンもある。操作レバーを動かして人を殺すのと,銃剣でのどを刺して殺すのはどちらが簡単かがわかっても,それ自体は道徳的に中立な発見だ。結局のところ,われわれが恐ろしい敵に出会ったら,自軍の兵士には殺害に対して良心の呵責を感じてほしくないと思うかもしれない。しかし,銃剣を突き刺すよりもスイッチをぱちりとやるだけで殺すほうが簡単だとすれば,そのことは知っておく必要がある。
デイヴィッド・エモンズ 鬼澤忍(訳) (2015). 太った男を殺しますか?「トロリー問題」が教えてくれること 太田出版 pp.207-208