読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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研究者は,セロトニン,テストステロン,オキシトシンといったホルモンの行動への影響を判断するために,トロリー問題を利用してきた。最後通牒ゲームも同じ役目を果たしている。
ある実験で,セロトニン濃度が高い人は,ほかの人が不公平だと見なす申し出を受諾する可能性が高いことがわかった。ビールとサンドイッチで食事をしながら労働組合のリーダーと交流する必要に迫られたら,サンドイッチに厚切りチーズを挟むといい。チーズにはセロトニンが豊富に含まれているからだ。経営陣が利益の大半を懐に入れていると信じている労働者は,自分が損をしてでも上役の評判を落としてやろうと考える。つまり,罰を加える方法がそれしかなければ,自分を傷つけるのも厭わない。セロトニンにはこうした衝動を抑える働きがある。一方,テストステロンには寛容さを減じる効果がある。女性のほうが男性より気前のいい申し出をするのは,これが一因かもしれない。また,オキシトシンは正反対の働きをする。
デイヴィッド・エモンズ 鬼澤忍(訳) (2015). 太った男を殺しますか?「トロリー問題」が教えてくれること 太田出版 pp.240-241