読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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そう,ネグレクトも継続的な危機なのだ。ただし,心理学者によると,いちばん弱いネグレクト――世話をする人間がときどき注意をはらうのを怠ること――にはプラスの効果もある。子供にとって,自分はつねに親の関心の中心にいるわけではないと知り,ときには自分だけで楽しもうとするのはよいことだ。一方,過酷なネグレクトは,法律により虐待であると定義され,児童福祉課の介入を必要とする。しかしこの両極のあいだに「慢性的な低刺激」と呼ばれる状態がある。親が子どもにあまり反応せず,積極的に関心を寄せたり,きちんと向きあってやりとりをしたりといったことがない状態だ。子供は泣いても,話しかけようとしても無視され,連続して何時間もテレビのまえに放置される。
神経科学者たちの発見によれば,この程度のネグレクトでも,脳の発達に対し,長期間にわたる深刻な悪影響を及ぼす。
ポール・タフ (2017). 私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み,格差に挑む 英知出版 pp. 41