読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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この瞬間,つまり内なる満足のためでなく,何かべつの結果のために行動しなければならなくなった瞬間に,「外発的動機づけ」が重要になる。デシとライアンによれば,こうした外発的動機づけを自分のうちに取り込むようにうまく仕向けられた子供は,モチベーションを徐々に強化していけるという。ここで心理学者は,人が求める三つの項目に立ち戻る。「自律性」「有能感」「関係性」である。この三つを促進する環境を教師がつくりだせれば,生徒のモチベーションはぐっと上がるというわけだ。
では,どうやったらそういう環境をつくりだせるのか?デシとライアンの説明によれば,生徒たちが教室で「自律性」を実感するのは,教師が「生徒に自分で選んで,自分の意志でやっているのだという実感を最大限に持たせ」,管理,強制されていると感じないときである。また,生徒が「有能感」を持つのは,やり遂げることはできるが簡単すぎるわけではないタスク――生徒たちの現在の能力をほんの少し超える課題――を教師が与えるときである。さらに,生徒が「関係性」を感じるのは,教師に好感を持たれ,価値を認められ,尊重されていると感じるときである。デシとライアンによれば,この三つの感覚には,机いっぱいの金の星や青いリボンよりも,はるかに動機づけの効果があるという。
ポール・タフ (2017). 私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み,格差に挑む 英知出版 pp. 91