読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
さて,このように見てくると日本が安心社会から信頼社会に変わるためには,まずは「人を見たら泥棒と思え」と考える傾向から脱却し,「渡る世間に鬼はない」と考え,他者を信用していくことが必要だということが分かってくるわけですが,しかし,読者の中にはこうした結論に対して,異論を唱える方もきっとおられるのではないでしょうか。
すなわち,「他人を信用しなさい」というのは道徳論としてはなるほど大切な話であるかもしれないが,世の中は「信じる者は救われる」というほど簡単なものではない。他者を気やすく信じた結果,もし相手に裏切られて酷い目にあったら,どう責任を取ってくれるのか!――というわけです。
山岸俊男 (2008). 日本の「安心」はなぜ,消えたのか:社会心理学から見た現代日本の問題点 集英社インターナショナル pp.136