忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

遺伝子検査を推し進めているもの

 遺伝子検査を推し進めているのは,障害者の“発生予防”を善しとする差別的な人間観に他ならない。だが“発生予防”の発想がどれほど有効か,まずそこから考え直す必要がある。「心身障害」すなわち心身の生理的機能不全をこうむった人たちの多くが経験する「障害」というのは,よくよく考えれば心身の機能不全状態そのものよりも,むしろそうした“生理学的少数派”が“多数派”である一般「健常」者の世界で生きていくうえで,社会的障壁に妨げられて生活に現れる“差し障り”と“被害”に他ならないことがわかる。たとえ優れた能力をもっていても,「女性」であるとか「社会的少数派」に属しているというだけで,たいていの人たちが社会的多数派や支配的職能階層から差別的に排除されてきた。(特に女性差別は人種にかかわりなく行なわれてきたのである。)それとまったく同じ“仕組み”で,遺伝的であれ生後のものであれ,心身に生理的機能不全をこうむり「心身障害」のレッテルを貼られた人たちは,多くの学校や職場で門前払いをされてきたのが現実なのだ。

ルース・ハッバード,イライジャ・ウォールド 佐藤雅彦(訳) (2000). 遺伝子万能神話をぶっとばせ 東京書籍 Pp.93-94
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]