読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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中には,ごく一部の人が行動すれば最悪の事態を防げるケースがある。予想される過負荷がほんの数パーセントであれば,半数の人が自主的な節電を実行するだけで,停電は避けられるだろう。しかし残り半数が節電しないのはじつに腹立たしい。とりわけ不快なのは,他の人が節電しているから停電にはならないとすっかり安心し,本来なら多少は謹んだかもしれない電力の無駄遣いをとんと気にしなくなり,兵器で電気をつけっぱなしにしている連中だ。それでも,不快感の価値を過大視しない限り,節電に協力した半数にとってもよい取引になりうる。「フリーライダー」は節電協力者より利得は多いものの,節電協力者も,協力して電力消費量を減らしたおかげで利得を手にしている。
トーマス・シェリング 村井章子(訳) (2016). ミクロ動機とマクロ行動 勁草書房 pp. 149