読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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結果を選ぶことが結論をゆがめる一形態だと言うなら,実験を行ってデータを集めたあとに,検証しようとする仮説を決めることもそうだ。これは hypothesizing after the results are known (結果がわかったあとに仮説を立てる)の頭字語としてharking(ハーキング)と呼ばれている。これならデータが支持する仮説を簡単に立てられるに決まっている!こう説明されると見るからに危ういやり口に思えるが,効果は概してずいぶんさりげなく現れる。たとえば,研究者がデータをふるいにかけ,ある決まった傾向の兆しを見いだしたあとに,もっと詳しい統計分析を同じデータに対してかけて検証して,見いだした傾向が有意かどうかを確認するのである。だが,どのような結論が出ても,それは傾向の兆しを見いだした当初の考察で歪められている。
デイヴィッド・J・ハンド 松井信彦(訳) (2015). 「偶然」の統計学 早川書房 pp. 171