読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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欧米の職場では,個々の労働者の仕事の内容,範囲,責任,権限などが「職務記述書」や「権限規程」という形で明確に定められています。ですから,同じ職場にいても,自分の仕事と他人の仕事の区別は明確です。他人の仕事をする義務はありませんし,する権利もありません。むしろ,他人の仕事に手を出したりしたらトラブルのもとです。
ところが,日本の職場では,そのように個々人に排他的な形で仕事が割り振られているわけではありません。むしろ,個々の部署の業務全体が,人によって責任の濃淡をつけながらも,職場集団全体に帰属しているというのが普通の姿でしょう。自分の仕事と他人の仕事が明確に区別されていないのです。
濱口桂一郎 (2013). 若者と労働―「入社」の仕組みから解きほぐす 中央公論新社 pp. 92-93