読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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そもそも,欧米では「企業に採用してもさしあたっては何の役にも立たないような,職業経験も知識も何も持たないような」新規学卒者を「もっぱら好んで採用しようとすることは,とても理解することができない」のに対して,日本では,新規学卒者がほとんど唯一の会社への入口となっていたために,少なくともある時期までは「自分の希望するところへ就職することは困難であるとしても,ほぼ間違いなく全員が自分の就職先を見つけ出すことができるようになってい」ました。
欧米では,学校を出たばかりのスキルもない若者は,欠員補充に応募しても経験豊富な中高年失業者にとられてしまい,仕事に就けずに失業するのが当たり前であるのに対して,日本では何の経験もスキルもない「まっさら」な人材であることがむしろ高く評価されて「社員」として「入社」できるのが当たり前であったのです。
濱口桂一郎 (2013). 若者と労働―「入社」の仕組みから解きほぐす 中央公論新社 pp. 108-109