読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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学部教育を重視するプリンストンは,まだよいほうかもしれない。2005年に実施された米国トップ校における学部生の満足度調査では,ハーバードが何と27位の低位にあることが判明した。その大きな理由が,教員が直接学部生を教える機会が少なく,授業のほとんどが大学院生や博士研究員(特にポストドクターと呼ばれる1~2年間の契約研究員)に「外注」されているから,というものであった。教育よりも研究を重視するというのは,トップ校にみられる一般的な傾向である。
もちろん,教員と学生の距離は学部の規模にも大きく影響されるだろう。学生に人気のない学部・専攻では,規模の小ささゆえに教員との距離も近づくに違いない。だが,私がプリンストンで所屬する公共政策学部では,学生から「教員が会ってくれない」「論文にコメントをもらえない」といった不満がよく聞かれた。経済学部や公共政策学部の教員は,大学以外の仕事,たとえば政府機関の委員やコンサルタントを務める機会が多い。その分,学生と接触する機会も減るということなのだろう。
佐藤 仁 (2017). 教えてみた「米国トップ校」 KADOKAWA pp. 111-112