読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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鉄条網による防御をさらに強固にしたのが機関銃の配備だった。鉄条網と機関銃はほぼ同時期に実用化された。陣地の前面を鉄条網で固め,その隙間から機関銃で攻撃するというこの2つの組み合わせは最強の守りとなった。
機関銃のアイディアは古くからあったが,はじめて実用化されたのは1861年に米国のリチャード・ガトリングが発明した「ガトリング砲」である。六本の方針を束にした多銃身で,ハンドルで回転させて連続射撃した。当時としては,毎分350発という驚異的な発射速度を誇った。「砲」とよばれるが,口径20ミリ未満を「銃」と呼ぶ慣例からすれば,銃である。
ガトリングは発明の動機を「この砲による大量殺戮の恐怖から,戦争を止めさせることができる」と,ダイナマイトを発明したノーベルと同じようなことを語っていた。間もなく最強の殺戮武器として各国が競って装備するようになった。
石弘之・石紀美子 (2013). 鉄条網の歴史:自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 洋泉社 pp. 64