読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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開戦はしたものの,両陣営ともに「クリスマスまでには戦争は終わるだろう」という空気が支配的だった。せいぜい半年間の短期戦を予想していた。この背景には,多くの人びとの抱いていた戦争のイメージが,ナポレオンの戦争当時のままだったことがある。後方から大砲を打ち合い,機をみて騎兵や歩兵が突撃するという戦法だ。当時は戦争を支える兵力にも軍需産業にも限りがあり,長くつづける「体力」はなかった。
だが,戦場に送られた両軍の兵士はすぐさま,これが容易ならざる戦闘であることを知った。はじめは少数しか配備されていなかった機関銃が,その威力が証明されるにつれてしだいに数を増やし,ついには戦場の主役の座を占めるまでになった。突撃する兵士たちに機関銃の弾が降り注ぎ,死傷率もそれまでの戦争と桁違いに高くなった。
機関銃の製造は当時,英国のヴィッカース社と米国のホチキス社が独占していた。ヴィッカース社の機関銃は,1分間に745発も発射することができた。
石弘之・石紀美子 (2013). 鉄条網の歴史:自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 洋泉社 pp. 71