読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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西側世界が歓迎したベルリンの壁の崩壊で,最大の被害者はウサギだった。二つの壁に囲まれた無人地帯に,数千匹のウサギが棲みついた。彼らの記録映画『ベルリンのウサギたち』がドイツ・ポーランドの合作でつくられ,2010年のアカデミー賞の短編ドキュメンタリー賞にノミネートされて,すっかり有名になった。
野生のアナウサギが入り込んできて,安全を保障された無人地帯で大増殖をとげた。壁の崩壊とともにウサギは棲みかを失ってちりぢりになった。追跡調査をしている研究者によると,現在は10の集団に分かれて各地の公園などに棲んでいるらしい。そのうちの9つまでが西側で,旧東側に棲むのは1集団だけという。ウサギもやはり西側が好きだったようだ。
石弘之・石紀美子 (2013). 鉄条網の歴史:自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 洋泉社 pp. 182