読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
軍事境界線が設けられた後,両陣営は警備のためにこの境界線の植生を焼き払い,相互に大型スピーカーを設置して政治宣伝や音楽を大音響で流した。とても野生動物が生息できる環境ではなかった。
しかし,南北軍事実務者協議で野焼きや拡声機の使用中止が合意された結果,鉄条網や地雷で守られた無人の軍事境界線では過去20年間,草原や森林が目に見えて戻り野生動物も増えてきた。
韓国政府環境部の報告(2010年)によれば,森林は境界線の78.3%を占めるまでに回復した。森林以外にも,湿地と河川が1.2%,牧草地が19.1%,遊休農地が1.3%を占め,多様な自然は動植物にとっては天国になった。
境界線に生息する動植物は2716種類にもおよび,狭い地域ながら東アジア有数の生物多様性の宝庫になった。67種の絶滅危惧種および保護対象種も確認されている。内訳は,哺乳類52種(韓国全体の52%),鳥類201種(51%),淡水魚類106種(12%),両性・爬虫類29種(71%),植物1597種(34%)など。今や韓国でもっとも豊かな生物多様性を誇る地域になった。
石弘之・石紀美子 (2013). 鉄条網の歴史:自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 洋泉社 pp. 255-256