何がこのような出生力(出生率によって示される出生傾向)の変化を引き起こしてきたのだろうか。人口学によると,出生力は,有配偶率(どれくらいの人が結婚しているか),有配偶出生力(結婚している人がどれくらい子どもをもうけているか),婚外出生力(結婚していない人がどれくらい子どもをもうけているか)の3つによって説明できる。日本では婚外出生力がきわめて小さいため,結婚していない人が増えていることと,結婚していても子どもをあまりつくらなくなっていることの2つの要因によって少子化を説明することができる。そして,少なくとも2000年までは,日本の少子化の7割程度は有配偶率の低下によって説明できることがわかっている(鹿嶋, 2000; 岩澤, 2002; 岩澤, 2008)。その後,有配偶者の出生率低下の影響が相対的に強まるのだが,それでも日本の少子化の主要な要因が未婚化であるという事実は変わりがない。
筒井淳也 (2015). 仕事と家族 中央公論新社 pp. 35-36
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