読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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だから,個人が企業と争う際にも,みんなが「一体化」しているときに自分だけ争ってよいものか,と考えてしまう。とても強い「背徳感」に襲われる。私が労働相談を受けていても,「他の同期に悪い」とか「店長に迷惑がかかる」と考える方は本当に多い。
こうして彼らは,「企業の業績」に一体化するあまり,逆に自分自身の健康は二の次になってしまう。また,社会全体にうつ病が蔓延していけば,結局日本の国際競争力を引き下げることになるのだが,そんなことよりも,今勤めている「ブラック企業の業績」がなによりも重要なものだと思えてしまう。
だからこそ,「会社と闘うこと」は,みんなが「企業の業績」と一蓮托生で頑張っていることへの「裏切り」だと思ってしまうのである。さらには,自分が「闘い」を仕掛けることで,企業が競争で淘汰されるかもしれないという恐怖をも感じている。
今野晴貴 (2015). ブラック企業2:「虐待型管理」の真相 文藝春秋 pp. 212-213