ラシュモア山の例を考えてみてほしい。あなたがラシュモア山のことを一度も耳にしたことがなく,4人の大統領の顔が壁面に刻まれたこの山を偶然に見つけたと仮定しよう。そうした形が偶然によって生じる可能性が極端に小さいことにもとづいて,あなたは,この構造がデザインされたものであることに微塵の疑いも抱かないだろう。しかし,今度は,宇宙人たちがその指導者をたたえるために刻んだラシュモア山の変形版を,偶然に発見したと考えてみよう。あなたはその山を見るまで,宇宙人が実際にどのような外見をしているのか,あるいは彼らが指導者の体のどの部分をモニュメントとして展示したがるかといったことについて,まったく何の手がかりももっていないとする。さらに,その宇宙人が住む惑星の自然地形がどのような形をしているかについても,何の手がかりももっていないと考えてほしい。このような3つの条件のもとで,あなたは宇宙人の自然の刻んだラシュモア山と彼らの自然地形とを,本当に確信をもって見分けることができるだろうか。人類や地球の自然の地形をまだ見たことのない宇宙人にラシュモア山の写真を見せて,同じ質問をすることもできるだろう。
ロバート・アーリック 垂水雄二・阪本芳久(訳) (2007). 怪しい科学の見抜きかた:嘘か本当か気になって仕方ない8つの仮説 草思社 Pp.91-92
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