大多数の天文学者は,宇宙人の来訪と政府による隠蔽という考えをまったくばかげたものとみなしているが,宇宙のどこかに他の文明が存在する可能性は,はるかに抵抗なく受け入れている。故カール・セーガンと同じように,われわれの銀河系だけでも100万ないしはそれを上回る数の知的文明が存在するかもしれないと楽観的に考える科学者もいる。その一方,故エンリコ・フェルミと同様に,もっと慎重な科学者もいる。フェルミはずばり問う。「存在すると言うのなら,どこにいるのか?」フェルミは,進歩した文明のなかには,いつかは恒星間飛行をマスターするものがあるのは確実だろうから,宇宙人にお目にかかったことがないということは,次のいずれかを意味すると推論した。
1. 知性をもつ宇宙人はいない。
2. 恒星間飛行は不可能である。
3. どの地球外文明も,宇宙飛行は骨折り損だとの判断を下した。
4. 知的文明は,恒星間飛行が可能になる時代を迎えられるほど長くは存続できない。
ロバート・アーリック 垂水雄二・阪本芳久(訳) (2007). 怪しい科学の見抜きかた:嘘か本当か気になって仕方ない8つの仮説 草思社 p.236
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