サイキックは自らを権威ある者と位置づけ,明確にあるいはそれとなく,自分には経験も自信もあって信用できるのだと相手に思わせようとする。その方法はさまざまで,あからさまなものもあれば,そうでないものもある。
最もよく使われるやり方の一つは,これまでにリーディングを行った相談者の賛美の言葉を並べておくことだ。また,「◯◯タロット研究センター」といった学術関係めいた名称の機関が発行した証書を掲げておくという手もある。こうした証言や証書は,もしかしたら本物かもしれない。しかし,デスクトップ・パブリッシングや手軽に印刷できるソフトウェアの普及した今日では,誰でも簡単にそれらしいものを作成できる。私はもちろん自分で作ったし,制作の過程を大いに楽しんだ。
このほか,適当な参考図書をまわりに並べ,タロット・カード(であれ何であれ自分が選んだ技法)は研究の対象となり得る広い分野なのだと思わせる策略も有効だ。リーディングの途中で細かい解釈を「はっきりさせる」ために分厚い本に手を伸ばす,というのはなかなか気が利いている。
イアン・ローランド 福岡洋一(訳) (2011). コールド・リーディング:人の心を一瞬でつかむ技術 楽工社 pp. 54
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