同じようなことを言うにも,ちょっとした工夫で細やかな褒め言葉に変えることができる。たとえば,誰かの腕時計を渡されて,サイコメトリーによるリーディングを行う場面だとしよう(サイコメトリーとは,相談者の所有物や過去に使っていたものから相手のことを読み取るとされる方法のこと)。たとえば,こんなふうに。
[例]「この品物の所有者はだいたいにおいて信頼できる人だと感じられます。たぶんこの人は,多くの人よりいくらか誠実で,良心的でしょう。聖人でもないし完璧でもありませんが,本当に大事な場面では信頼されることがいかに重要かを確かに理解しています。価値あることを守って生きたいと誰もが願っても,いつもうまくいくとは限りませんが,この人はそんな価値を手にしている,そう思わせるエネルギーを感じます」
これだけの言葉を費やして述べているのは,「あなたは基本的に誠実である」ということでしかない。しかしこういうふうに言えば,超常的で,洞察に満ち,特定の個人に関する理解を示す言葉のように聞こえるのだ。
イアン・ローランド 福岡洋一(訳) (2011). コールド・リーディング:人の心を一瞬でつかむ技術 楽工社 pp. 68-69
PR