読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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なお,ケーニッヒスワルトと彼の標本をめぐっては,日本と関係する逸話がある。
第二次世界大戦中の日本のジャワ島占領下で,彼は32ヵ月にわたって日本軍の収容所で,不自由な生活を強いられた。彼はそうなる前に化石を巧妙に隠したのだが,ガンドンから出た比較的年代の新しいジャワ原人の頭骨化石1点のみは,日本軍の手に渡ってしまい,天皇陛下への贈り物として日本へ送られた。
戦後,その化石は未開封の状態で日本に置かれていたものをGHQに接収され,長い旅路をたどってアメリカにいたケーニッヒスワルトの手に戻った。さらに,彼の移動とともにオランダへ移されたあとで,インドネシアに返還された。ガンドンの標本は結局,地球をぐるりと一周してジャワ島に戻ってきたのである。
川端裕人(著) 海部陽介(監修) (2017). 我々はなぜ我々だけなのか:アジアから消えた多様な「人類」たち 講談社 pp. 69-70