だが今日では,派手な宣伝をすることがベンチャーキャピタルビジネスの要になった。新たな企業がたくさん生まれ,新たな資金がふんだんに流れ込む中,ベンチャーキャピタルも,注目を集めなくてはとプレッシャーを感じているのだ。だからスタートアップ企業のようなおかしな動画をつくり,広報担当者を雇い,ブログやポッドキャストを立ち上げて,元ジャーナリストを雇って運営させる。毎年,シリコンバレーで大金を稼いでいるのは,一握りの企業だけだ。ベンチャーキャピタルたるもの,そうした企業にお金を預けなくてはならない。だが,そんな契約に至るのは,簡単なことじゃない。投資家は実のところ,おいしい契約を目指して,競い合わなくちゃいけないのだ。どうすればあの起業家にお金を受け取ってもらえるだろう?どうすれば目立つだろう?それには,話題づくりが必須だ。
ダン・ライオンズ 長澤あかね(訳) (2017). スタートアップ・バブル:愚かな投資家と幼稚な起業家 講談社 pp. 284
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