これとは別に,「女性は,男性からかわいがられ,守られねばならない」「多くの女性は,ほとんどの男性がもっていないような純粋さの特性をもっている」というような考え方がある。一見女性に好意的である。好意的セクシズムという。日本では以前は「フェミニスト」というとこのような考え方を持つ男性のことを指し,「フェミニスト男性」は好意的な評価を受けていた。しかしこでも,女性は家庭に入るべき,夫に庇護されるべきという考え方にもつながる。
好意的セクシズムに対して「女性は男性をコントロールすることで力を得ようとしている」「男性が女性のためにしてやっていることを,ほとんどの女性が十分にわかっていない」のような考え方を敵意的セクシズムという。敵意的セクシズムと好意的セクシズムは一人の人の中で必ずしも矛盾しない。両方の傾向が強い多義的セクシストもいる。
多義的セクシストの男性は,女性について極端な見方をする。タイプ分けをして好き嫌いをはっきりさせるのである。つまり,キャリアウーマン的生き方の女性は彼らが嫌いなタイプ,専業主婦のような生き方の女性は彼らの好みのタイプということになる。
岡本真一郎 (2016). 悪意の心理学 中央公論新社 pp. 75-76
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