学校でもやはり年齢による効果はある。数の保存と呼ばれる概念を子どもが把握しているということは,手短に言えば,一つのまとまりの中にある物体の数は,その個数には無関係の変化——物体の位置をただ変えたりしても——があっても,同じであり続けるという事実を子供が理解していることで,そこにも相対的年齢効果は見られる。学年のなかで月齢が上の子供は,教室外で数の保存について学ぶ時間がより多くあるだけでなく,注意力や記憶(数を理解するうえで必要な能力)のような認知能力も年齢とともに増す。相対的に年上の子供は,教室以外の日常で学ぶものが多く,脳もより発達しているので有利であり,そのため教室で学ぶことが実際に身につくのだ。こうした年上の子供がより「賢い」とか「頭がいい」と識別されるのであれば,相対的年齢は同年齢の仲間のなかで目立つために役立つかもしれない。
シアン・バイロック 東郷えりか(訳) (2011). なぜ本番でしくじるのか:プレッシャーに強い人と弱い人 河出書房新社 pp. 67-68
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