ところでここに,株価とは違うが,実に面白い規則性がある。大学の受験倍率の高低がおおよそ2年周期になる,という法則である。これは多くの大学教員から聞いたので,かなり信憑性がある法則だ。この周期性は,受験生たちがなるべく受験倍率の低い大学を受験しようとする,そういう傾向から来ているらしい。もちろん,大学の合否はおおよそ学力で決まる。実力があれば倍率など無関係に合格するだろう。しかし,試験はみずものである。実力通りの結果を出せないこともままある。このとき,倍率が低いなら,多少失敗しても運よく受かるかもしれない。そこで受験生は倍率の低そうな大学を受験しがちになる。
このとき,受験生は前年度のデータを参考にして,受験倍率が低い大学を選ぶ。そのため,前年度倍率の低かった大学は,今年度に倍率が跳ね上がり,前年度高かった大学は逆に下がる傾向が現れる。これを「受験倍率2年周期の法則」という。
小島寛之 (2005). 使える!確率的思考 筑摩書房 pp. 61-62
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