入学選抜の課題は,大きく考査と面接に分類される。考査では,先の「はじめに」で見たようなペーパーテストのほか,口頭,行動観察,制作,運動の5つの課題に分けられる。「ペーパーテスト」では,記憶,数量,図形,言語,立体などの推理,科学・常識に対する理解など,年齢相応の学力を問う問題が入学考査課題として提示される。小学校就学以前には,数字やひらがなを含めた文字は未習であることを前提にしているため,それらを用いた出題は原則的にはないものの,学校によってはひらがな程度のリテラシーが前提になっている課題が提示されることもある。「口頭」は,試験管の提示する質問に回答させることで,ことばの発達や表現力など知的発達をみる試験内容である。
「行動観察」は子ども同士や親子または在校生など異年齢集団の中での集団行動の様子を試験官が観察し,協調性や社会性をみる試験である。「制作」では,指示された作品統制を通じて,巧緻性や指示に対する理解力をみる試験である。昨今では集団制作を通じて協調性などをみていることもあるという。「運動」では,跳び箱,ボール,平均台,鉄棒などを使った簡単な課題を課し,指示の理解力,積極性・意欲,心身の健康状態をみる試験である。
小針 誠 (2015). <お受験>の歴史学:選択される私立小学校 選抜される親と子 講談社 pp. 34
PR