単純に日本の私立小学校と比較することはできないが,少人数教育の導入,国や自治体からの運営補助がないことや入寮する児童の割合が高いこともあり,プレップ・スクールの教育や学校運営には高いコストを要する。その結果,家庭の経済力による選抜は日本の私立小学校の入学以上に厳しいと予想される。
したがって,高額な授業料や寮費はプレップ・スクールを選択するうえで大きな阻害要因になり,その時点で経済的な選抜を受けていることになる。プレップ・スクールの児童の父親の職業は,ロンドン・シティの銀行や商社に勤務するサラリーマン,開業医や有名企業の顧問弁護士,あるいは自ら会社を興し,経済的に成功した実業家・起業家が多いという。また,先祖代々から相続される不動産で莫大な収入を得ている「無職」の保護者もいるようだ。
小針 誠 (2015). <お受験>の歴史学:選択される私立小学校 選抜される親と子 講談社 pp. 46
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