読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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したがって,欧米諸国における個人意識のすさまじさには,ただただ,あきれはてるほかはない。「教育をうけない権利」,「予防接種を拒否する権利」,「強盗を殺す権利」など,どれをとってみても,そうである。日本では,しばしば,自由と放縦はちがうとか,自由には責任をともなうとかいわれるが,自由がはじめにでてきたのは,もともと,そんななまやさしい,きれいごとの議論からではない。あくことのない自己主張がほんとうに原動力なのである。
考えてみれば,これだけの解放へのエネルギーが,ながいあいだ,生きるために止むをえないとはい,伝統的な階層意識や社会意識によくおさえつけられてきたものである。ヨーロッパの近代は,伝統思想の動揺しはじめたのをきっかけに,つもる恨みが一気に奔流したような感じで出発している。血なまぐさい革命さわぎが何回もおこるのは,あたりまえであろう。
鯖田豊之 (1966). 肉食の思想 中央公論社 pp. 160-161