読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
もっとも高い値段をつけた人が買っているのだから,転売しようとすれば,必ずそれより低い値段しかつかないはずだ。これが,オークションでいう「勝者の呪い」である。「勝者の呪い」というのは,オークションで落札できる人は,その品物の価値を過大に評価した人だから,必ず損をするというものだ。もちろん,オークションで手に入れた品物を転売する気がなければ「勝者の呪い」は発生しない。他人よりも高い私的価値を自分がもっていたとしても,それは自分が損をすることにならない。ところが,転売して儲けるとか,その品物を使って儲けようという場合には,損失を被るという意味で「勝者の呪い」にかかってしまう。プロ野球選手がどの球団とも選手契約できるフリーエージェントになった場合,複数の球団のなかで一番高い年俸や移籍金をオファーしたところが選手を獲得する。しかし,しばしばその選手の活躍は期待はずれということになりがちだ。
大竹文雄 (2017). 競争社会の歩き方 中央公論新社 pp. 38-39