読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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高齢者は,金融資産選択においてあまりリスクをとらない。そう言われると当然だと思う人が多いだろう。若い頃なら,ある程度リスクのある資産を保有していても,長期間の資産保有を考えれば,資産価格の変動はならされる。ところが,資産の保有期間が短い高齢者がリスクの高い金融資産を保有すると,資産価格変動の影響を大きく受ける。そういう意味では,高齢化が進むと,人々の保有資産は安全資産に偏り,リスクのある投資に対する資金が供給されにくくなる可能性がある。金融資産の選択において,リスクをとる程度が高齢者ほど低くなることを示した研究がある。その研究によれば,高齢者が金融リスクをとらなくなるのは,年齢が高くなって余命が短くなることではなくて,記憶力や数的能力などの認知能力が衰えてくるためだという。
大竹文雄 (2017). 競争社会の歩き方 中央公論新社 pp. 111-112