読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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諸説あるが,2つの仮説が有力だ。最初の説では,おもに採餌にかかわる生態学的な問題によって脳が肥大して,認知能力が上がったとされる。その生態学的な問題とは,厳しい季節もある年間をとおして餌をどう探すか,というものだ。種子を隠した場所をどのようにして覚えておくか?手に入れるのが難しい餌をどのようにして得るか?一般に,過酷な環境や予測が難しい環境に棲む動物は認知能力が高い。これには高い問題解決能力や,新しいものを探したり試したりする柔軟性がふくまれる。
2番目の説は,社会圧によって柔軟で知的な心の進化がうながされた,というものだ。他者と仲良くし,自分の縄張りを主張して守り,盗みをはたらく個体に対処し,つがい相手を見つけ,子育てし,責任を分担するようになったということだ(野生のトキが渡りのあいだに編隊のリーダーを入れ替わるのは,一種の社会適応の認知,つまり互助性の理解を示唆する。一度リーダーを務めればほかの鳥がリーダーになってくれるし,それで群れ全体がうまくいく)。
ジェニファー・アッカーマン 鍛原多惠子(訳) (2018). 鳥!驚異の知能:道具をつくり,心を読み,確立を理解する 講談社 pp. 93