読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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この点において,カレドニアガラスはヒトの生存戦略を理解する手がかりを与えてくれそうだ。ヒトは霊長類の中でも親に依存した幼年期が長く,その期間に生存戦略をしっかり学習する。オークランド大学のチームによれば,ヒトとカレドニアガラス双方における採餌にかんする高い技術レベルと親に養育される長い幼年期は,相互に因果関係があるらしい。この考え方は「早期学習仮説(early learning hypothesis)」と呼ばれる。学習を必要とする道具づくりがあるために,幼年期が長期化するというのだ。つまりカレドニアガラスは,鳥だけでなくヒトにおいても,道具の使用が生活史に与える進化的な効果を解明する良好なモデルになるかもしれない。
ジェニファー・アッカーマン 鍛原多惠子(訳) (2018). 鳥!驚異の知能:道具をつくり,心を読み,確立を理解する 講談社 pp. 119