江戸時代の男女はかなり早婚だったと言われる。たしかに初婚年齢が女性で27歳に,男性が28歳に近づきつつある現在からみればそのとおりである。しかしそれは女子にはあてはまるけれど,男子の初婚年齢は一般に現代の水準に近かった。中央日本の農村では,18・19世紀における長期的な平均初婚年齢は,男25〜28歳,女18〜24歳の間にあった。夫婦の年齢開差はふつう5〜7歳,男が年上で現在よりもかなり大きかった。しかし江戸時代の初婚年齢は地域や階層などによて,非常に大きな差があったことがわかっている。女性の初婚年齢について18・19世紀の各地の農村を比較してみると,陸奥国の村々で著しい早婚であった。3つの村の平均で16.2歳,最も早婚の下守屋村ではなんと14.3歳であった。最も晩婚の地方はいまのところ長門国紫福村の22.7歳である。尾張国神戸新田の21.8歳がこれに次ぐ。
鬼頭 宏 (2000). 人口から読む日本の歴史 講談社 pp.121-122
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