何が集団的知性の基礎となるのだろうか?これは予想外だったのだが,集団のパフォーマンスを上げると多くの人びとが一般的に信じている要素(集団の団結力やモチベーション,満足度など)には,統計学的に有意な効果は認められなかった。集団の知性を予測するのに最も役立つ要素は,会話の参加者が平等に発言しているかどうかだったのである。少数の人物が会話を支配しているグループは,皆が発言しているグループよりも集団的知性が低かった。その次に重要な要素は,グループの構成員の社会的知性(相手のシグナルをどの程度読み取れるかで測定できる)だった。社会的シグナルについては,女性の方が高い読み取り能力を持つ傾向にあるため,女性がより多く含まれているグループの方が良い結果を残した。
アレックス・ペントランド 小林啓倫(訳) (2015). ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学 草思社 pp. 110
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