3番目のデザイン原則であるレジリエンス(回復力)は,私たちのシステムの長期的な安定性に関係している。今日の社会システム(金融や政府,労働など)は,間欠的に不具合が派生したり,壊れたり,ひどいときには崩壊してしまう。システム全体の不調が起こりにくい,新しいシステムを設計することが必要だ。同様に,変化や脅威に素早く,正確に対応できない社会システムは,現代社会のニーズには適していない。長期的に見た私たちのレジリエンスは疑いなく,社会における急速な変化に私たちが素早く,安定的に適応できる力に根ざしている(非常にまれ,あるいは大規模な変化にも対応できなければならない)。社会物理学の観点から考えた場合,これは社会的学習がどのくらい速く進むかという問題である。これまで考えられなかったような情報源を含め,あらゆる場所から最速でデータを集め,統合するにはどうすればいいか,それを社会システムの再構成に使うにはどうすればいいか?というわけだ。
アレックス・ペントランド 小林啓倫(訳) (2015). ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学 草思社 pp. 248-249
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