前世紀にネットを使っていた古株なら,メタクローラー,ライコス,アルタビスタなどをはじめ,当時のさまざまな検索エンジンを覚えているはずだ。そしてこれらがもう1つ頼りにならなかったことも。運が良ければ探し物が見つかるが,たいていそうではなかった。1990年代後半に最も人気のあった検索エンジンに「ビル・クリントン」を入力すれば,検索上位に気まぐれの様に現れるのは「ビル・クリントンはクソ」などという誹謗サイトか,クリントンをこき下ろすジョーク集などだった。現職大統領についてのまっとうな情報が得られることはめったになかった。
1998年,グーグルが現れた。そしてその検索結果は,明らかに他を圧倒していた。1998年に「ビル・クリントン」と検索すれば彼のウェブサイトを筆頭にホワイトハウスのeメールのアドレスやネット上で最高の評伝が表示された。グーグルは魔法のようだった。
セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ 酒井泰介(訳) (2018). 誰もが嘘をついている:ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性 光文社 pp. 76-77
PR