フェイスブックはデジタル自白剤ではなく,「自分はこんなにいい暮らしをしていると友人にデジタル自慢させる薬」なのだ。フェイスブック上では,平均的なユーザーは幸せな結婚生活を送り,カリブ海に休暇旅行に出かけ,『アトランティック』の記事を追いかけている。現実には多くの人はいらいらとスーパーのレジ前に並びながら『ナショナル・インクワイアラー』を横目で立ち読みしつつ,もう何年も一緒に寝ていない伴侶からの電話を無視している。フェイスブック上では,家族生活は完璧に見える。現実には悲惨なもので,そのあまり子供を持ったことを後悔する人もいるくらいだ。フェイスブック上では,あたかもすべてのヤングアダルトが週末にはいかしたパーティーで楽しんでいるかのようだ。実際には彼らの多くは自宅に引きこもり,ネットフリックスばかり見ている。フェイスブック上では,彼女は彼氏との息抜き旅行での26枚の幸せな写真を投稿する。現実には,この写真を投稿するや否や,彼女は「彼氏がセックスしてくれない」とググる。そして彼氏はおそらくそのとき「グレート・ボディ,グレート・セックス,グレート・ブロウジョブ」を見ているのだ。
セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ 酒井泰介(訳) (2018). 誰もが嘘をついている:ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性 光文社 pp. 176
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