どれが貧困層が長生きできる都市?
・宗教性の高い都市
・汚染度が最も少ない都市
・健康保険の被保険率が最も高い都市
・多くの富裕層が住んでいる都市
最初の3つ—宗教,環境,健康保険—は貧困層の長寿命に相関していない。チェッティらの研究によると,重要な変数は,その街にどれだけ多くの富裕層が暮らしているか,である。金持ちが大勢暮らしている街では,貧乏人の寿命も延びるのだ。たとえばニューヨークの貧困者はデトロイトの貧困者よりもずっと長生きする。
どうして富裕層の存在が貧困層の長寿命のこんなに強い予想因子になるのか?一つの仮説は—推論的ではあるが—チェッティの研究に加わり私の指導教官だったデイビッド・カトラーによるものだ。推進力になっているのは行動伝染だという説である。
習慣には伝染性があることを示す研究は山ほどある。豊かな人々のそばに住む貧しい人々も,富裕層の行動を身につけるのかもしれない。こうした習慣の中には,たとえばもったいぶった言葉遣いのように健康に影響しそうにないものもある。だが運動習慣のように,明らかに良い影響があるものもある。実際,豊かな人の周囲で暮らす貧しい人々は,より運動をし,喫煙率が低く,肥満率も低い。
セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ 酒井泰介(訳) (2018). 誰もが嘘をついている:ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性 光文社 pp. 202-203
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