実際この経緯は,遺伝学とIQをめぐる研究の一般的なパターンである。まずIQに関わる遺伝子変異を見つけたと言い出す研究者が現れる。そして新たなデータを手に入れると,先の主張は誤りだったと悟るのだ。
クリストファー・チャブリス率いる研究者チームによる最近の研究では,IQに関わる遺伝子変異についての12の有名な科学的発表を,1万人ものデータをもとに検証した。その結果,12の先行研究が報告した相関性のどれ1つとして再現できなかった。
これらの主張はどこがいけないのか?いまや科学界でははっきりしていることだが,人間のゲノムには数百万通りもの違いがある。ごく単純に言えば,数が多すぎて試験しきれないのだ。
山ほど多くのツイートを調べて証券市場の上げ下げとの関連を調べたら,やがてある種のツイートがそれを解く鍵だという結論に達する。だがそれは,まったくの偶然の産物だ。
セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ 酒井泰介(訳) (2018). 誰もが嘘をついている:ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性 光文社 pp. 283-284
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