何らかの問題に関心を向けさせ,それが公共の議題として扱われ続けるようにしたいとき,正のフィードバックは非常に有効な手段になりうる。多くの活動団体がこのことに気づき,あれこれ試みているようだが,より有効に使うには,もう少し頭を使って計画する必要があるだろう。蟻コロニー最適化から得られる教訓を採用するならば,最善の戦略とは,大量の投書をいっぺんに出して後はそのままにしておくことではなく,活動団体のメンバーに問題のいろいろな側面について着実なペースで投書をさせることだ。この方策は,フェロモンの濃度を継続的に高めることで蒸発を防ぐのと同じであり,ここからまた別の規則が現れてくる——ある問題に集団や社会全体の注目を集めようとするときは,一発屋を目指すのではなく,時間の経過に従って次々と別の面を押し出す計画を立てること。
レン・フィッシャー 松浦俊輔(訳) (2012). 群れはなぜ同じ方向を目指すのか? 白揚社 pp. 66
PR