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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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平均を取るのがよい

 何らかの値を求めるという問題(磁針が指す方角とか,瓶の中のゼリービーンズの個数という古典的な問題とか)の場合は,それについて出されたすべての答えの平均をとることが最善の方策であり,科学者はこうした種類の問いを状態推定問題と呼んでいる。一方,いくつかの選択肢から正解を選ぶ問題の場合には,多数決が有利になる。だがいずれの場合でも,集団の知恵を最大限に活用するには,満たさなければならない条件が三つだけある。
・集団内の各人は,自ら選んで考えようとし,また実際にそれが可能で,様々な独立した結論にたどり着かなければならない。
・問題には明確な答えがあり,最終的には現実と照合できなければならない。
・集団内の全員が同じ問題に答えなければならない(当然のことに思えるかもしれないが,「同じ問題」だと思っていても,解釈が人によって違う場合は多い)。
 この三条件が満たされたとき,複雑性の数理から次の三つの特筆すべき結論が導かれる。
・状態推定問題に答えるとき,集団は個々のメンバーの大半より必ず成績が良い。そういう場合があるというのではなく,必ずそうなる。
・複数の解答がありうる(ただし,正解は一つだけの)問題に関連する諸事実について,集団のメンバーの大多数がある程度知っている場合,多数決はほとんど必ず正解になる。たとえば,100人からなる集団の各メンバーが,それぞれ60パーセントの確率で正解を得られたとすると,厳密な数式から,多数派の答えが正解になる可能性は99パーセント以上あることが分かる。
・事情によく通じている人が集団内に少ししかいないときでも,たいていの場合はそれで十分であり,多数派の意見が正解となる。
レン・フィッシャー 松浦俊輔(訳) (2012). 群れはなぜ同じ方向を目指すのか? 白揚社 pp. 101-102

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