他者に与える印象をどのくらい操作できるのかについては,さまざまな教えが得られる。まず,とくに印象操作しやすい状況がある。就職面接やデートなど,情報の流れをかなりコントロールできる場では,印象をうまく操作できるかもしれない。前に研究助手を面接したとき,本人は綿密に記録を残せる人間だと断言していたけれど,仕事を始めて一週間でそうじゃないことが明らかになった。でもスヌーパーが目をつける寝室やオフィスのような場所は,たいてい操作するのがずっと難しい。長い間に積もり積もった大量の情報があるからだ。それほどたくさんの情報を消すとなると大変だし,自分が持っていない特性を示す偽情報を大量につくりだすのは,もっと大変だ。そんなわけで,手がかりが操作されている可能性について考えるときには,次の3つのカテゴリーに分けてみると便利だ。
1 操作するのがもっとも簡単な手がかり。意図して送られている信号であり,信号を送ることがその手がかりの主な目的だ(部屋の掲示板に貼ったレインボーカラーのシンボルなど)。
2 意図的に環境に手を加えたことによる手がかり。信号を送るつもりはない(快適なスペースづくりなど)。
3 手を加えるのがもっとも難しいてがかり。行動の結果うっかり出てしまう信号(窓辺の枯れかけた観葉植物など)。
サム・ゴズリング 篠森ゆりこ(訳) (2008). スヌープ!:あの人の心ののぞき方 講談社 pp.
(Gosling, S. D. (2008). Snoop: What Your Stuff Says About You. New York: Basic Books.)
PR