そういうわけでスヌープをするときは,ステレオタイプを慎重に扱うことを忘れちゃいけない。そのためには,次の4点を頭に入れておくことだ。
1 ステレオタイプは,物から人格を割り出す2つの方法のうちの1つにすぎない。たとえば,住人を信頼できる人だと推測するとき,中国語の本がベッドのそばにあるということはアジア人だからきっときちんとしている,というようにステレオタイプを使って推測するか,卓上カレンダーにきちょうめんに予定が書きこまれているから,というように,信頼性を示す証拠をそのまま使って推測するかのどちらかだ。
2 寝室研究のとき,女性は神経症傾向が強いというステレオタイプは正しかったが,調和性が高いというステレオタイプは間違っていた。判断の助けになるステレオタイプはたくさんあるけれど,間違ったステレオタイプは判断を狂わせてしまうことがある。
3 女性は神経症傾向が男性よりも強い,といったような特徴の方向性は正しくても,程度を勘違いすることがある。たとえば,男女の差をじっさいよりずっと大きいように思ってしまう。
4 ワシントンの住民を,(地域のステレオタイプをもとに)まだやってもいない凶悪犯罪で逮捕しろと要求する前に,ステレオタイプによる一般化はグループ内の多様性を無視していることを思い出そう。確かにワシントンの住民の調和性は全米で50位だが,全員が悪者というわけではない。
サム・ゴズリング 篠森ゆりこ(訳) (2008). スヌープ!:あの人の心ののぞき方 講談社 pp.208-209
(Gosling, S. D. (2008). Snoop: What Your Stuff Says About You. New York: Basic Books.)
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