さまざまなチームスポーツのなかには,他より予測しやすい競技がある。その違いの一端は得点率にある。アイスホッケーを例に取ろう。NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)に所属するチームならば,一試合の平均スコアは2,3点だ。これをバスケットボールと比べてみるといい。NBA(全米バスケットボール協会)のチームは頻繁に,1試合で100点もの得点をあげる。ホッケーのように1試合で入る点が少なければ,1点が試合に与える影響はより大きくなる。これはつまり,ゴールに嫌われて跳ね返されたり,運良くパックがゴールに飛び込んだりといった偶然の出来事が,最終結果に影響する可能性が高まることを意味する。得点の少ない競技では,取り扱う得点データも少なくなる。素晴らしいチームがろくでもないチームを破っても,1対0であれば,分析対象となる得点シーンはたった1度しかない。
アダム・クチャルスキー 柴田裕之(訳) (2017). 完全無欠の賭け:科学がギャンブルを征服する 草思社 pp. 129-130
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