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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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複数の証拠で意味合いが変わる

 うわべは矛盾した2つの性格をもう少し挙げてみよう。聡明で愚か。攻撃的で依存心が強い。陽気で陰気。厳しくてやさしい。寛大で執念深い。こうした2つの特性が,1人の人間に共存する状態を想像してみよう。たぶんあなたは,上手に2つをつなげる物語をつくれるだろう。この作業では,人についての情報を組み合わせる才覚が発揮される。これは,スヌーパーも居住スペースの手がかりから結論を導き出すときに,やらなくちゃいけないことだ。かつて調査したある寝室に,つじつまが合わないアイテムが含まれていた。聖母マリアの小さな漆喰の像が愁いを帯びた顔で窓の上の出っ張りから見下ろしているのに,ベッド脇のテーブルには大きくて色鮮やかなプラスチックのパイナップルが置いてあった。まじめで信心深いのか,ふまじめなのか。これは部屋にある他のアイテムが解決してくれた。マリア像とパイナップルとともに,エルヴィス・プレスリーもどきがついたベッドカバーと,サンタの帽子をかぶった牛の形のクリスマスの照明を組み合わせると,もっとはっきりした印象があらわれてくる。この人はキッチュな物の収集家であり,誠実性があって,遊び心のある気のきいた美的センスを持っているのだ。寝室や音楽のコレクションなどで見つかった情報を組み合わせることに関心を持つぼくたちにとって,重要な結論は,人が形成する印象は部分を足し算した結果以上のものだということだ。文脈を考慮せずに情報を吟味するやり方は,重要かもしれない社会的情報を無視することだ。さっきの収集家の部屋にあったマリア像が,聖書やローマ教皇の伝記や壁にかけた十字架と一緒にあれば,マリア像の意味合いはまったく違ってくるだろう。この場合は敬虔なカトリック教徒になる。

サム・ゴズリング 篠森ゆりこ(訳) (2008). スヌープ!:あの人の心ののぞき方 講談社 p.244
(Gosling, S. D. (2008). Snoop: What Your Stuff Says About You. New York: Basic Books.)
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