旧来の出版メディアや放送局は企業のオーナーの価値観を表した階層型組織だ。これに対して,新しいメディアはコントロールをすべてユーザーに明け渡す。ネット世代は,ボトムアップ組織とトップダウン組織の違いをわかっている。初めて,若い世代はコミュニケーションの基盤を自分たちの手にすることができたのだ。
ネット世代はただ単に情報を見るだけではなく,積極的に情報を探索してきたことで思考と調査の技能以上のものを身につけざるを得なくなった。子供たちは優秀な批評家にならなければならないのだ。どのウェブサイトが良いのか,データソースの真贋をどう判別するか,チャットセッションに現れた映画スターが本物なのか偽物なのかをどう判断すればよいのかなどを的確に判断できなければならない。
多くの点でネット世代はテレビ世代のアンチテーゼだ。一方向の放送メディアから対話型のメディアへのシフトがネット世代に大きな影響を与えている。
ドン・タプスコット 栗原潔(訳) (2009). デジタルネイティブが世界を変える 翔泳社 p.35
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