ネット世代は目覚めるべきだ。一見無害に思えるウェブサイトに疑いもなく本音をさらけ出すことで人生が台無しになってしまったケースは多い。インターネットの記憶は長い。たとえば,テキサスで重大な自動車事故に関与したドライバーは,刑事裁判における証拠としてマイスペースの投稿(「自分はアルコール中毒ではない,酒中毒だ」)を使われてしまった。ソーシャルネットワークへの投稿内容のために職を失ったり,就職の時に採用を断られたりするケースは枚挙に暇がない。フロリダ州の郡保安官代理は,マイスペースで飲酒と巨乳フェチについて書いた投稿を上司に見つかり,解雇されてしまった。ラスベガスのカソリック系学校の教師は,オンラインで自分がゲイであることを告白したために解雇されてしまった。大学や高校は「不適切」な投稿がないかマイスペースやフェイスブックを常にチェックしている。その結果,懲罰を受けたり,退学になったりする学生もいる。
英国における調査では,企業の62パーセントが応募者のソーシャルネットワークへの投稿をチェックすると述べており,4分の1の企業がその結果として候補者を却下したと述べている。理由としては,過度の飲酒,非道徳的行為,反社会的行為などである。私の息子のアレックスは雇用主がそれほど真剣になる必要はないと考えている。「もし,ぼくがパーティでビールを飲んでいる写真があったとして,それは何を示しているのだろう。ぼくがアルコール中毒になる可能性があることを意味するのか,それとも,ぼくが人生を楽しむ社交的な人物で友だちもたくさんいることを示しているのか」
ドン・タプスコット 栗原潔(訳) (2009). デジタルネイティブが世界を変える 翔泳社 pp.97-98
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