マイラ・サドカーとデービッド・サドカーは,非意識的レベルで働く同様の自己成就予言が,アメリカの教室に学ぶ少年と少女の成績の違いに影響を及ぼしていると主張している。意識的なレベルでは,たいていの教師が男子と女子を平等に扱っていると確信している。ある実験で,サドカーたちは教師にクラスで男女の生徒たちが議論しているフィルムを視聴させた後,男子と女子のどちらの方が議論に貢献していたかを尋ねた。教師たちは女子が男子よりも参加していると回答した。サドカーらがもう一度フィルムを見て男子と女子が発言した回数を数えるように要求して初めて,教師たちは男子の方が3対1の割合で女子よりも多く発言したことに気づいた。
非意識的レベルでは,教師は男子を女子よりも好意的に扱うことが多いため,男子は女子よりも成績が良くなるとサドカーは主張する。非意識的な心には結論を急ぐ傾向があり(「私の算数の授業では,男子の方が良くできる」),たとえ教師たちが意識的には皆を同様に扱っていると信じていたとしても,男子を優遇することになる。
ティモシー・ウィルソン 村田光二(監訳) (2005). 自分を知り,自分を変える 適応的無意識の心理学 新曜社 p.71
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