アレックスが12歳の時,私は本音で父親と息子の会話をしようと一緒に座った。
「ポルノって何なのか知ってるかい」と私は質問した。「知ってる」と息子が答える。「ポルノサイトに行ったことはあるかい」「ううん,ないよ」「そうか,ポルノについて話をしたいんだが」と私は言う。「パパ,ああいうのって,女の子をデートに誘えない負け組のためのものじゃないの」
これは幸先が良いぞと私は思った。結果的に私たちは,ポルノがいかに女性を傷つけ,本当に好きな女性との性的な喜びを台無しにするか話し合った。そうして私たちは前述のような契約を結び,握手した。
1年後,私たちの対処法に反対の立場を取るジャーナリストにインタビューを受けた。
「けれどもドン,フィルタリングソフトの機能は大きく向上しているんですよ。どうして使わないんですか」と彼女は言った。それから「子供が親のクレジットカードで2千ドルもするソフトをインターネットで買ってしまうことを未然に防止する」ために使えるというプログラムについて説明してくれた。ちょっと考えてから私はこう答えた。「自分の子供が勝手に親のクレジットカードを使って金を盗んでしまうなら,それ自体が大きな問題です。解決策はソフトではないでしょう」。そういう行為をする子供には,正しい価値観や親との関係など,別のものが必要なのは明白だ。
子供にポルノを見てもらいたくないならそのことを子供と話しましょう,というのがこの問題に対する私の結論だ。
ドン・タプスコット 栗原潔(訳) (2009). デジタルネイティブが世界を変える 翔泳社 p.342
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